感想いろいろ

・『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』
3D映画初めて見ました。おなじみの電脳空間などが3Dだとより一層かっこよくなっていました…!でもやっぱり3Dへの魅力をあんまり感じない。なくても作品は成立するものね。あったらいいけど……ってくらい。メガネ重くて疲れる。
このシリーズはキャラクターがやたら男らしいので、素敵ボイスに毎回妊娠しそうになります。とくに好きなのはイシカワさんです。渋くて最高です……
テーマはいつも通り難しく一度見ただけではわかりにくいのですが、そう遠くない未来の問題なのでわりと入りやすいと思います。しかし事件の発端または犯人としての行動には合理性がありません。どうしてそれが起こったのかを個人的な理由として説明することや完全な解決に導くことは出来ない。「総意」という言葉に潜む恐ろしさや、システム化された社会が持つ危険性、正しさの根拠はあるのか……そういった象徴的なことばかりですか、ひしひしと感じました。おじいちゃんたちがいろんな意味でリアルで怖かったです。謎の解明が進むシーンや戦闘シーンは本当にわくわくしました。映像、音楽もすんばらしいです。もう一回見たい。


・『ドリアン・グレイの肖像』オスカー・ワイルド
自分は歳をとらない代わりに肖像画が歳をとっていく、というプロットの中で話が進みます。
ドリアンが恋するシビルという女の子の描写が超かわいい。小さな劇団で役者をしている娘で、その演技の素晴らしさにドリアンは惚れこんでしまいます。ある夜はジュリエットで、ある夜はオフィーリア!というようにいろいろなヒロインを素敵に演じるのです。ところがシビルはドリアンと恋に落ちてから、しょうもないつまらない演技しか出来なくなります。舞台上で本当に恋をしたかのような演技が出来ていたのは、彼女が現実での恋を知らなかったからなのです。真の恋を知ってしまったら、もうロミオにもハムレットにも(それを演じているのはおっさんだし)恋心なんて抱けない、というわけです……。でもドリアンが惚れていたのは女優としてのシビルだったので……
シビルがメインのお話ではないのですが、このエピソード(主にシビルの可愛らしさ)が印象的でした。


・『インドへの道』E・M・フォースター
大好きフォースター先生の長編。再読ですが超面白かったです。インドとイギリス(被支配層と支配層)の対立がメインですが、それ以外にもインド内の宗教的対立(イスラム、ヒンドゥー、キリスト、その他たくさん)、階級的対立、ジェンダー的対立……など様々な視点から読むことが出来ます。構図的にはかなりわかりやすいからとっつきにくくはない。神秘的でちょっと怖いインドの、もっともっと奥深いところを覗き見ることが出来ます。ハッとするような表現がたくさんあるので、読みすすめるのが楽しいです。おすすめです。